「スイッチ」で世界を広げよう

手足や指を上手く動かせない。だからおもちゃ遊びもタンバリンも無理。iPadは動画を見てるだけ…。なんて諦めるのはもったいない!
手脚や指をわずかでも動かせるなら、「スイッチ」で可能性が広がります。

ここではSMA患者のスイッチ利用における活用例や製品情報をご紹介します。

(写真1)​iPadアプリをスイッチ操作で楽しむSMA1型の男児(1歳)。iPadに「iPadタッチャー」を貼り付け、iPadタッチャーは「ホッペタッチスイッチ」を繋いでいます。ホッペタッチスイッチを動かすと、その信号がiPadでタップ操作として認識される仕組み。
 

​スイッチ選びで大切なこと

筋力が非常に弱い場合、どんなスイッチが合うのか見極めるのは難しいものです。

「ものすごく頑張って押す」のでは短時間の利用が限界のため、「2割くらいの力で押せる」スイッチを選ぶのが一般的には良いとされています。また、スイッチを押す手脚の変形・拘縮が進まないよう、作業療法士が介在して適格なフィッティングを行うことが重要です。
最初はなかなか上手くいかなくても、スイッチを押したくなるおもちゃやゲームを用意し、楽しみながら練習を重ねて上達するケースも多く見られます。

SMA患者が使っているスイッチ製品

SMA患者が実際によく使っているスイッチを、2グループに分けて紹介します。

Aグループ:スイッチに「かすかに触れられる」「見た目にはほとんど動かせていない」患者向けです。例えば「スマホ画面に指が触れても反応しない、または反応しない時も多い」程度の筋力が目安です。スイッチは乾電池や充電池などの電力を必要とする種類となります。

Bグループ:「非常に軽いスイッチなら押し込める」筋力の患者向けです。「スマホ画面に指で触れると毎回きちんとタップとして認識される」「しかしPS4など一般のゲームコントローラーのボタンを連続して押し下げるほどの筋力ではない」方が目安です。

なお、Bグループよりも筋力がある方は適合可能なスイッチの種類が多いため、ここでは紹介を省きます

< Aグループ向けスイッチ例 >

PPSスイッチ(ピエゾニューマティックセンサースイッチ)
エアバッグ(空圧)とピエゾセンサーのどちらかで動作でき、感度レベルは16段階で調整可能なので、非常に弱い力の方にお勧めできます。長押しができませんが、ラッチ&タイマーを併用して解決できる場合もあります。改造おもちゃ等に使うと、電流の影響でPPSスイッチが壊れることもあるのでご注意ください。

シンプルタッチスイッチ(写真2)

2020年2月に新発売の静電容量型タッチセンサー。フレキシブルアームでセッティングしやすく、手ごろな価格で大人気です。センサーレベルの調整はできませんが、触れるだけでスイッチONとなり、赤いLEDが点灯してわかりやすいです。長押しは6秒間まで作動します。


タッチスイッチ『丸』(写真3)

国分寺おもちゃ病院で購入できる静電容量式スイッチ。スイッチを押す間だけ振動が伝わってON/OFFがわかりやすい「+振動」タイプもあります。

​​(写真2)シンプルタッチスイッチ

​​(写真3)タッチスイッチ『丸』

< Bグループ向けスイッチ例 >

ホッペタッチスイッチT(写真1)

・AbleNet マイクロライトスイッチ(写真4/握れる方向け)

プラケーススイッチ(操作力軽減薄型)

棒スイッチ(写真5/クリップアーム棒)

※ハンダが扱える方には、エスコアール社の電子工作キットもお勧めです。

​​(写真4)マイクロライトスイッチ

​幼児でも握れるサイズです。

​​(写真5)棒スイッチ

​全方位型で押す方向を選びません。

・接点スイッチ(写真6)
電気回路のON/OFFを、指でカチカチ押し込んで操作するスイッチです。押せる力と適した形のスイッチ本体(オムロン社のマイクロスイッチが主流)を選び、2芯ケーブルを繋ぎ、先端に3.5mmモノラルミニプラグを付けて完成です。ハンダ付が必要でやや上級編になりますが、部品を購入すれば数百円で仕上がるので、自作する保護者もいます。

(写真6)保護者の製作。オムロンのマイクロスイッチ/型番SS-01GL-Eに、柔らかいスーパーフレックスケーブルとL型モノラルミニプラグをハンダ付し、左手親指で押す部分には洋服のボタンを貼り付けたもの。布テープで手がずれないようにしています。

​​(写真7)スイッチを自作したい方におすすめの一冊。接点スイッチ、棒スイッチ等、様々なスイッチの作り方をわかりやすく解説​しています。おもちゃ改造のアイデアも多数。出版社公式サイトのほか、Amazonでも購入可能です。

スイッチ『インターフェース』

スイッチでおもちゃやiPad、PC等を操作するには、それらを繋ぐための「スイッチインターフェース」と呼ばれる専用機器が必要です。スイッチで何を操作するかによりスイッチインターフェースが異なるため、様々な種類の製品があります。
以下、SMA患者の利用実績がある製品を紹介します。

BDアダプター(乾電池で動く製品向け)

iPadタッチャー(iPadやiPhoneの画面に貼り付けます)

できiPad2。(iPadをBluetoothで動かせます)

できマウスS2。(Windows・iOS・macOS・Android対応)

hook+2(iPad専用、ライトニングコネクタに直接挿して操作できます)

変わる君(PCの他、変換アダプタでiPadにも使えます)

クリックジャック(Windows PCの左右クリックができます)

Xbox アダプティブコントローラー(Xboxを手持ちのスイッチで操作できる、Microsoft社の純正コントローラーです)

スイッチの活用事例

① 乳幼児期のおもちゃに
乾電池で動くおもちゃは、前述のBDアダプターを乾電池に接続してスイッチで遊べます。おもちゃだけでなく、ミニ扇風機や懐中電灯もBDアダプターでON/OFFできます。
マザーガーデン社の「おさんぽ柴犬」は、首輪の後ろのリードを繋げる部分が、スイッチを挿せる3.5mm ジャックなのでBDアダプター不要!スイッチを繋げて押すと、犬がワンワン吠えてトコトコ歩きます。「スイッチを押すと動く、離すと止まる」というスイッチ操作の基本の理解に繋がります。

② 打楽器で演奏
100円ショップで売っている乾電池式のミルク泡立て器「カプチーノミキサー」の泡立て部分にゴムなどの保護材をつけ、BDアダプターを接続します。スイッチを押すと泡立てる部分がグルグル回り、木琴やタンバリン、太鼓などを叩けます。お友達や家族と一緒に合奏はいかがですか?

(写真8)カプチーノミキサーにBDアダプターを取り付け、スイッチをつなげて木琴演奏!

③ iPadでゲーム

iPhone/iPadに搭載されたiOSは「アクセシビリティ」機能が豊富で、その中の「スイッチコントロール 」を活用すれば、スイッチだけで様々な操作が可能となります。スイッチコントロール は初心者にはハードルが高いものですが、「iPadタッチャー」なら簡単に画面タップをスイッチで実現できます。タップだけで遊べるゲームアプリは多数あり、デジタル教科書や電子書籍もページめくりができます。(写真1参照)

 

④ PCで文字入力

PCのスイッチインターフェースを使えば、PCとスイッチを繋げられます。

miyasuku EyeCon SW等のオートスキャン対応キーボードを用意すれば文字入力も可能となり、文書やメール作成、Web検索、SNS送信など、活用の幅が広がります。さらに視線入力とスイッチを併用することで、疲労を軽減し、スピーディな入力もできるようになります。

 

⑤ Nintendo SwitchやPS4もスイッチで遊べる

家庭用ゲーム機も、工夫すればスイッチで遊べます。例えばNintendo Switchでも、コントローラーを改造すれば手持ちのスイッチで操作することができます。1つのボタンに対して、スイッチを1つつなぐという方法になり、改造には少し知識が必要ですが、安価にできます。(USBでつなぐコントローラーの改造が簡単でおすすめです。)

また、少々値は張りますが、既製品も販売されています。Xboxアダプティブコントローラーとタイタンワンという機器を使えば、改造なしで家庭用ゲームをスイッチで操作することができます。

この方法で遊ぶ場合、1つのボタンに対して1つのスイッチが必要なため、複雑なゲームプレイはできませんが、例えば3つのスイッチを使うことができれば、右、左、Aのボタンを操作してテトリスやぷよぷよで遊ぶことができますし、2つのスイッチを使うことができれば、マリオカートのオートアクセル機能(自動でアクセルを踏み続けてくれる機能)等を使って、右、左のハンドル操作をして遊ぶことができます。また、1つしかスイッチが押せない場合も、アイテムボタン担当となり他の操作はきょうだいや友達にやってもらうことで、一緒に楽しむことができます。

(写真9)Nintendo Switchの改造コントローラーは、保護者の製作。

改造に詳しい方を探して依頼するのもありです。

(写真10)タイタンワンはこちら。USBメモリ風のインターフェイス変換アダプタです。別機種のゲームコントローラーを使えるようになります。

スイッチお試しや相談ができる団体、窓口など

どんなスイッチなら押せるか、どうすればフィッティングがうまくいくかは、病院や療育センターの作業療法士に相談するのがベストです。作業療法士の中でも、特にスイッチ周りの経験豊富な方を探すとよいでしょう。

いろいろなスイッチを試してみたい場合、各都道府県にあるIT支援センター(※2参照)も有効です。展示されているスイッチに実際に触れたり、スイッチ以外にも視線入力機器を体験できるところもあります。様々な規模での福祉機器展示会も全国で開催されています。

高価なスイッチですと、メーカーや販社が「デモ機」を貸し出してくれることもあります。デモ機の送料のみ利用者負担というところもあります。

障害者のICT支援を行うNPO法人や、個人で活動されている特別支援学校の(元)教員の方にサポートをお願いするのも手です。個別相談を依頼する、参考になるサイトや動画を教えてもらう、スイッチ活用(制作)の勉強会に参加するなど、サポートの形も様々です。


※1 参考資料「1型の子どもさんのコミュニケーション支援の手引き」
本会のアドバイザリーである佐々木千穂先生が監修された冊子です。様々なスイッチをどのように活用し、コミュニケーションや学習に活かしているか、多数の事例と共に詳しく紹介されています。

 

※2 全国のIT支援センター
東京都障害者IT地域支援センターのサイトに掲載されているリストです。掲載のない県もあります。

※3 NPO法人 ICT救助隊 
SMA家族の会でも協力をいただいている、ICT支援に精通した団体です。首都圏を中心に各地で各種セミナーやサポート業務を行っています。個別相談も可能です。

※4 とあるSMA男子の日常生活 

ICTを駆使するSMA男子リョータ君の母miyokoさん。スイッチの製作や相談、スイッチで繋ぐツール(ゲームコントローラー等)の改造など、ご相談を受けて出来る限りの支援をしています。

 

(2020年7月現在)

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